オランダでよく見かけるのがzen(禅)というキーワードです。zen(禅)というのは瞑想やマインドフルネスという意味で使われているようです。
ヴィパッサナー瞑想とは何か?
日本で現代ヴィパッサナー瞑想を紹介、指導している団体は、主に以下の3つである。
- 日本ヴィパッサナー協会(ゴエンカ系)
- 日本テーラワーダ仏教協会(マハシ系)
- グリーンヒル瞑想研究所(マハシ系)
瞑想のおススメの書籍
Vipassana Meditation and Body Sensation: Eilona Ariel at TEDxJaffa 2013
翻訳: Mari Arimitsu 校正: Reiko Bovee
(飛行機の音) 何か感じますか?
体に何か感じましたか?
感覚がありましたか?
画像と音を一緒にしたら どうなるでしょう?
(黒板に爪を立てる音) [宿題] ほとんどの人たちが 皆さんと同じ反応をします
ですから かなりの研究が 行われてきました
なぜ黒板を引っ掻く音に なぜこのように反応するのかです ある研究によれば 猿が 注意を喚起する声に 似ているため 私たちは本能的に この音に反応するそうです もっと最近の調査で分かったのは 人間の生体構造― 外耳道に関係があることです 外耳道は ある特定の音を 増幅させますから 黒板を爪でひっ掻く音は 耳がそれを増幅させるので 不快にさせられるのです でも不快な感覚を与える 全てのものを 変えることはできません ただ不可能なんです それでも 私たちは 視覚、聴覚 嗅覚、味覚、触覚を 日常的に使っています それらを全て消し去ることはできません 26世紀前に とても優れた 科学者がいました ブッダです ブッダが6年に及ぶ研究を経て 最後に悟ったのは 心が受け取る あらゆる情報は 感覚というドアを通るということ 何かを見たり 聞いたり、味わったり 匂ったり、触れる感覚は 体に感覚を与えて 私たちは気づかない内に それに反応しているのです 心も同じく ドラマや記憶 考え、感情、怒り、恐れを 映し出します この時も また体に感覚が走ります ブッダが見つけた素晴らしいものは 私たちは これらの感覚に 反応するということ 外にある 実体のある 何かではないんです 心が受け取るのは イメージや形、輪郭であって それをすぐさま こんな風に認識します 他人だ 男性だ 良い外見だ 怖い外見だと この反応は感覚と共に訪れます それがハンサムな男性なら 心地よい感覚が走るでしょう 強面の男性なら 嫌な感覚を覚えます 呼吸も速くなっていきます 科学者ブッダが発見したのは 私たちは「渇望」という感覚に 常に反応しているということです 皆さんにも冒頭で 体験していただきました 心地の悪い 強烈なもので 体に感覚を感じたでしょう でも実は 人生のあらゆる場面で ― まさにこの瞬間も ― 潜在意識の中で 心は反応し続けているのです 姿勢を無意識に変えるのは 心地が悪いからです 心地よい姿勢に変えようとするでしょう それは心地の悪い感覚が嫌だから そうでしょう?
それとも小さすぎるズボンを 履いてきたり ベルトがきつかったりして やがて この講演を 聞いているのも嫌になって 早く外に出たいと思うでしょう でもそれは パジャマのような 心地よい服を着ていないために 今日という日を楽しめないんです このように 私たちは 自分の体を走る感覚に 常に反応していることに 気づいてすらいません ブッダは この盲目の反応から 抜け出すための 精神修行を説きました これがヴィパッサナーです その意味とは特別な方法で観ること 洞察力のようなもので 体験から気づきを得ることです 私は幸運にも 10日間コースをネパールで 26年前に体験しました ヴィパッサナーセンターは 人里離れた場所に所在していて 私は瞑想が何であるかも よく分かっていませんでした でも驚くべきことに 毎日10時間 10日間座ることで分かったのは 自分を侮辱する人に 反応しているのではないことです その反応は 他人ではなく 体を走る心地の悪い感覚に 反応していたのです 私は自らの悲しみに 苦しむことはありません ― 以前はそうでしたよ ― それは感情と共に訪れる 体の感覚だったんです ですからコースの最終日には 電話を取り出して 知り合い全員に こう言うのが待ちきれませんでした 「あなたも行かなきゃだめよ」と 当時はネパールに住んでいましたから 世界中の知り合いに電話しました その中でも 真剣に受け止めて 参加した人も何人かいます でも 私の姉妹のように こんなことも言われました 「エイロナ、あなた宣教師みたいよ!」 (笑) こう言われた時 身に染みて こう思いました 「この体験について 他人に語るのは止めよう」と でも 何かをしなくてはという思いでした そこで映像を作ることにしました 才能豊かな映像作家である アイェレット・メナへミと一緒にです 彼女は瞑想家でもあり このコースについて 多くの人に 知ってもらうため 無償で 何かをしたいと思っていました そうして 私たちは世界ツアーを 決行することにしました 当時は25ヶ所に広がる 瞑想センターがあり 先ほど申し上げた 瞑想方法が 教えられていました S.N. ゴエンカ師 による教えです 必要な機器を購入し 撮影クルーと 150キロの機材と共に 世界中のセンターを撮影します でも 一体どんな映像が 出来上がるでしょう?
参加者は 毎日10時間 目を閉じて座っているだけです 何がとれるでしょう?
ランチをとって 水分をとって 座っているだけ ツアーを進める中で だんだん不安になってきたのです アメリカのセンターから フランス、ドイツと移動して 最後にアジアに到着して ようやく ピンときたのです 少なくとも私たちが 知っている場所で撮影できたからです それはインド・デリにある ティハール刑務所でした (ビデオ)(音声) 何十年もの間 ティハール刑務所は 非人道的な環境として有名で まさに生き地獄でした (アリエル)恐ろしい場所です しかし ヴィパッサナー瞑想を 取り入れることで変化が訪れました まず看守の1人をヴィパッサナー センターに送りました なぜなら そこの受刑者の多くに このプログラムを 受けて欲しかったからです なぜでしょうか?
刑務所は再犯と戦っていました 受刑者が出所しても また罪を犯して 刑務所に戻ってきます 7割が再犯でした ヴィパッサナー瞑想プログラムが 遂に この数字を下げたんです ですから このプログラムを 行いたかったんです これから その様子を覗いてみましょう (ビデオ)(ビデオの声)コースの 4日目にヴィパッサナーが教えられます 生徒は 体の中に感じる あらゆる感覚を それが どんなものであっても 反応することなく 客観的に観察する方法を学びます 感情が湧き出ては消えていき 痛みがあらわれては消えていく 喜びがあらわれては 消えていく様子を観察します そして頭ではなく 自らの体験に基づいて 全ては無常であるという 気づきを得ます 嫌悪、欲情、渇望は もはや概念的なものではありません このような感情に伴う 体の感覚を観察して それが無常であるという 性質を理解することで これまで 習慣になっていた 盲目的な反応を変えることができます 表現と抑圧という 対極するものの間で 「ただ観察する」という 3つ目の選択をするのです このドキュメンタリーは成功を収め 多くのテレビで取り上げられました そして ロン・キャヴァナー博士に 採用されることになりました 博士はドナルドソン刑務所で 仕事をしていました (ロン・キャヴァナー) ヴィパッサナーを知ると この瞑想方法について 学ぶことになりますが そこは認知行動療法が 届かない場所なんです (アリエル)警備が厳しい ドナルドソン刑務所では ほとんどの受刑者が 出所することはありません その多くが 死刑を待っているか 仮釈放なしの無期懲役刑か 終身刑の身です (ビデオの声)ここにいる受刑者は 実に危険な世界に住んでいます すし詰めで 自由を奪われ 希望もない状況では 人は極端な攻撃性と 絶望感に苛まれます このような環境のもとで 自分自身を振り返って 我が身を変えることは 不可能ではないにしろ 難しいことです 2002年1月 刑務所は 思い切った実験を行います 古代のブッダの教えをもとにした 10日間の瞑想プログラムを 行ったのです 厳重警備をしいた 刑務所内でです 男性:これまで人々が叫び声や 大声をあげたり 喧嘩が絶えなかった体育館― たくさんの人たちが暴行を受けた場所が 靴を脱いで 静かにマットに座って瞑想をする そんな場所に変わったんです (アリエル)この人たちは若い頃から 終身刑を受けて 入所している人たちです 一部の人たちは 何年もの間 怒りを抱えていました 彼らが初めて安らぎを得たのは どうやって瞑想するかを 教わった時です 10日間 毎日10時間です 怒りと共に込み上げてくる 感覚を観察します それまでは この怒りに すぐに反応していたはずです 結果として懲罰が 2割も減りました そこでドナルドソン刑務所では 定期的に 少なくとも年に4回は ヴィパッサナー瞑想を取り入れて より多くの受刑者が プログラムを享受できるようにしました 『ダンマ・ブラザーズ』 私はいつも怒りに満ちていました そう いつもです アンガーマネジメントや ストレスマネジメントを受講しましたが アンガーマネジメントは怒りを 隠す方法を教えてくれて ストレスマネジメントも 基本的には同じようなものでした ヴィパッサナー瞑想を受けた時 座布団の上に10日間座りました そこで教わったのは・・・ 湧き出る怒りを あるがままにして 対峙することです 怒りを抑えなくていいんです それに対処しなければならず 対処しています 誰でも間違いは犯すでしょう 私も間違いを犯しました でも人は変われるんです 以前のようなことには 関わらないでいられる 良い気分です (アリエル)ヴィパッサナー瞑想と 出会わなければ 私は この舞台に立って お話ししていなかったと思います 私は子供時代からとても内気で 大人になってからも 辛いほど ストレスがたまるほど内気で 人前で話すなんて 考えられなかったからです 友人であるはずの 学校の生徒と話すことを考えると 高熱が出で 病気になっていました ただ出来なかったんです 今ではストレスを感じない というわけではありませんが それに対処できます ですから 皆さんにも 自身を変えることができる そんな機会があるということを お話ししたかったんです ありがとうございました (拍手)